経営難で人件費の支払いが困難に

図面と電卓工務店を経営している男性ですが従業員が15人足らずの小さな工務店です。
この業界に携わって行くにはお客様との関係が第一ですし、 この人でしたら仕事をお願いしても良いと思わせる自分を売り込む事から仕事が始まります。
自立をして開業をした当初は無名の状態でしたので、 飛込みをしながら仕事の受注を承っていましたが、中々仕事を頂く事が出来ずに経営は苦しい状態でした。

ですが、仕事の評価が上がる度に名前が知られる様になり、 次第に経営の方も軌道に乗り始めていくことが出来ました。
開業当時は従業員は7人だったのですが、 受注が増えて行きましたので手が回らない状態になってしまい、 従業員を最大20人まで増やすほど経営は上向きになりました。
日々忙しく大変な日々が続きましたが嬉しい悲鳴でもあり仕事がある幸せを感じていたのです。
ですが、いい事ばかりが続く事は無く徐々に経営状態は悪化をして行きました。
工務店は世の中にたくさんありますし、日本最大規模の大手建設会社もありますので、 受注が減ってしまい苦しい経営状態になりました。

最大の悩みは人件費だったのですが約20人の従業員がいましたので、 給料の支払いだけでも高額になってしまうのです。
従業員にも家庭がありますので業績の悪化は彼らの生活を苦しめてしまう事に繋がってしまいます。
初期の頃は自らの財産を処分しながら給料を払い続けていましたが、 限界に達してしまい銀行のローンを利用する事になりました。
借りたお金は300万円で月々12万円の返済で楽に返せると思い融資のお願いをしましたが、 実際には思うように事が運ばずに毎月の返済に困る日々が続きました。
所有をしていたトラックを数台売却をして返済に充てたり、 バブルの時に従業員の為の宿舎として購入をしたマンションを売却して、 やっと毎月の12万円が払えるほどだったのです。

一番の原因は従業員への人件費だったのですが、 仕事が減っていた状態では従業員を多く抱えている必要が無くなり、 申し訳なく思いながら従業員を半分に減らしました。
従業員にも家庭がありましたので再就職先を探す為に、 他の工務店へ赴いて頭を下げながら就職をさせる手続きも行いました。
返済はたったの12万円で少ないと思われると思いますが、 それ以上に出て行くお金が多い為にとても苦しい返済額なのです。

毎日苦しいやり取りの中で約2年で返済を終えることができましたが、 常に背中に十字架を背負った気持ちが毎日続き、こんなに苦しい生活はありませんでした。
経営者は軌道に乗れば大金が手に入りますし、世間一般的には成功者に見られて羨ましく思われる事があります。
しかし経営者と従業員では絶対に従業員の方が楽だと思います。
上司の言う事を聞いていれば良いのですから。
命令を出す出す経営者は責任が重く上に立つほどしんどい仕事だと痛感を致しました。